i-class collection

ばーばと南 + Run&Music

しんぞう発作

朝夕の気温は肌寒いほどに下がってきたものの、日中はまだ30度近くに届く。

午前中の11時ごろには雑用をすませてジョギングに出る。

 

サラッとした空気のせいで、真夏のようにノドの中に暑さがまとわりつくような息苦しさや、汗のベタつきを感じることはないので快適に走ることができる。

 

 

気がつけばいつのまにかセミも地中に潜ったようすで、遊歩道はすっかり静かになった。

夏にけじめをつけるべく暑さと涼しさ、昼と夜がせめぎ合う。

 

 

彼岸花と赤とんぼが、自信満々に堂々とした秋の色を目の前に差し出してくれる。

もうすぐ秋は助走を終えようとしている。

 

ジョギング中はなるべく季節の流れにの中にいるように心がける。

伸び放題の秋草を避けながら、5kmちょっとをそうやって30分かけて走る。

 

 

家に戻るとすぐにシャワーを浴び、パタゴニアのピンクの半そでのワンピースとスパッツに着替える。

ヘンプオーガニックコットンの生地が運動のあとの肌に優しい。

 

その上から白い薄手のパーカーを羽織り、YouTubeの「オガトレ」を見ながら股関節のストレッチを30分ほど入念に行う。

 

 

 

スタバで買った豆をいつもよりも少し多めに挽き、網戸から流れてくる柔らかい風に溶けそうになりながら、いつもよりも少し苦いコーヒーを飲みながら疲れたカラダを休める。

 

 

 

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< 今日のジョギング時にガーミンでかかった主なリスト >

 

1. On The Way Home / Neil Young

Buffalo Springfield時代の曲。私は少なく見積もっていまイチ、いや、いまハチくら い、いや全然かな、Neil Yongのことがわかりません。私に何が欠けているのだろう。

 

2.Rain / Red Garland

基本的にこの人のピアノのプレイ・スタイルは、どの曲も春の暖かい日の雨音のように聴こえます。ジャズの詳しいことはわからないのでこの表現があっているかどうかはわかりませんが。

 

3.Gamble With My Love / Dazz Band 

Philip Baileyのプロデュースでデビュー。EW&Fテイスト満載のディスコミュージックが得意な彼らですが、この曲はバラードです。のちにCool & The GangのボーカルとなるSkip Martinの声が優しくて好きです。

 

4.A Thang For You / A Few Goodmen

気持ちの入った歌い方が好印象だったA Few Goodmen。デビューアルバムは権利関係で回収されます。Baby Faceのプロデュースが秀逸だっただけに今は手に入らず残念です。クリスマスソングの「Silber Bells」も孫の南と一緒によくYouTubeで聴きます。

 

5.Please Please Me / The Beatles

 

6.A Whole New World / Peabo Bryson & Regina Belle

1992年公開のディズニー映画「アラジン」の主題歌。

 

7.My My My / Gerald Albright

Johnny Gillの名曲。Gerald Albrightと師匠のGrover Washington Jr.とKenny GDavid Sanbornの違いを説明できません。効きサックスができるようになりたい。

 

8.Never Gonna Let You Go / Chuck Stanley

しつこくないファルセットが好きです。  

                             

9.Now I Realize / Menageri

詳細はよくわかりません。90年代の特徴であるニュージャックのリズムにのせるラップは意味が分からなくて、何を言ってるのかすっかりさっぱりでも、かっこよくてデキが良くて懐かしくて走っているときのエネルギーになります。

 

10.A Clue / Boz Scaggs

Boz Scaggsが絶好調時のアルバム「Down to Then Left」の2曲目なのですが、単体でプレイするよりも、1曲目の「Still Falling You」からの流れで聴く方が曲の洗練さが増します。“バック・ミュージシャン“TOTOのサポートがキレが良くて素晴らしい。

 

11.Nothing Gonna Change My Love For You / George Benson 

Glenn Medeiros君の青春の甘いラブ・ソングだとばかり思っていましたが、George Bensonのオリジナルなのですね。Glenn Medeiros君も上手に歌っているのですが、George Bensonのあとに聞いてみると表現力が大人と子供です。大好きなラブ・ソングがタイミングよくランの最後にかかると、ごきげんな気分でダウンができます。

 

 

 

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長男の孫の南が小学校3年生の時のお話。

 

 ローリング・ストーンズの「ON AIR」を聞きながら、白和えにするために軽くゆがいた木綿豆腐を布巾ではさんでいたら、いつもの帰宅時間よりも30分ほど早く南が学校から帰ってきた。

 

 

 

 

オン・エア(2CDデラックス)

 

 

 

南がシャワーを浴びている間に、急いでおやつの用意をする。

数分後に真っ裸でリビングに現れる南。

 

どうみても丁寧にふきましたとはいえない髪の毛からは、しずくがポタポタとしたたりかけているけれど、彼はそれを全く気にするそぶりもない。

 

 

 

南は白いお尻をぷりぷり振ってパンツを上げながら

「ばーば、ストーンズのCD消していい」と礼儀として表面上は伺いを立てているけれども、ストーンズを消す意思100%で問いかけてくる。

 

 

 

「どうしても聞きたいのがあるのならいいわよ。でもあなた、よくストーンズだってわかったわね」と「ON AIR」の中の曲は知らないはずなのに、なぜかなと不思議に思いたずねる。

 

 

「声がミック・ジャガーじゃん。ばーばが髪ふいて」と渡したタオルを押し返される。

 

 

目の前に立たせた南の髪の毛をゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシゴシと丁寧にふいた後、その小さな手にタオルをのせて脱衣所のカゴへ入れてくるようにうながす。

 

 

すり鉢をゴトゴトと棚の奥から出して豆腐をする準備をしながら、子供の耳ってすごいのねと感心しきり。

 

 

 

“いやいや、ミック・ジャガーの声が独特だからかな?“などと思い直しつつも

 

「でもなんに変えちゃうの。あとちょっとだから最後まで聞きたいな」と丁度流れている12曲目のマディ・ウォーターズのカバー「I Can’t Be Satisfied」に親近感を覚え少し抵抗してみる。

 

 

 

YouTubeでエイリアンズを聞きたいんだよ」というので、まあそれならいいわよと、ストーンズキリンジにあっさりと明け渡す。

 

 

ストーンズはガーミンに入れて、明日のランニング時の楽しみにとっておけばいいかなと前向きになるも、なぜかしらストーンズは私のランニング・ペースには向かないのだったことを思い出す。 

 

 

気持ちは落胆、意気消沈。

 

 

 

南はそんなことにはわれ関せずに、慣れた手つきでTVのリモコンを操作し、さっとYouTubeの画面を出す。

 

 

ここ数日間、家にいる間はずっと高音で口ずさんでいるキリンジの「エイリアンズ」がものの数秒で流れだす。

 

 

聞けば今の子供たちはTVをみることなくYouTubeで情報を得るそうだ。

 

 

 

好きな音楽がいつでも聴けるという進歩は、「FMfan」を片手にラジオで音楽を追いかけていた私たち世代からするととってもうらやましい。

 

 

 

「あなた3年生で、この曲のよさがわかるなんてイケてるわよ」とたいそう褒めちぎる。

 

 

すると、午前中のうちに準備しておいた、“おからドーナツ”を口いっぱいにほおばりながらいつものごとく突然に

 

 

しんぞう発作って、しんぞうがもういやだって切れることでしょ

と全く関係ない話を全くわけのわからない文脈で同意を求めてくる。

 

 

 

男の子の突然の行動には驚かないこと。

そんな動物なのだから。

 

 

とはいえ「だれが?」と怪訝に冷静に聞きかえす。

 

 

「え?、しんぞうがだよ」

 

 

 

「だから、なにがかな?」驚くなとわかっていても、この会話はひどく混乱する。

 

心をタフにして動揺を気づかれないように落ち着いて再度聞き直す。

 

 

 

「だからー、同じクラスのしんぞうくんだよ。アイツは先生の言うことによくキレるんだよ」

 

 

「あなたの言うしんぞうって、真蔵くんのこと???」

 

 

 

「そうだよ、あいつしかいないじゃん。でね、でね、しんぞうで発見したことがあるんだよ。いい、言うよ。いい?」

 

 

「いいわよどうぞ」今度は驚かないわよと、心を前がかりにして腰を落として受け入れ態勢を整える。

 

 

 

そのね、ばーばが言う方の心臓が脳を人質に取ったら、脳こうそく(拘束)になるんだよ。ねっ、すごいでしょ、えらい?