6年生の野球も終わりに近づき、ばーばもみに来てねと南が言うので、週末は試合にでかけてきました。
4回裏0対0、2アウトの場面で、南が深い三遊間のゴロを逆シングルで取り、ワンバウンドでファーストに投げました。
ファーストの子がそのボールをそらしてしまい、ランナーは2塁まで進みました。
幸い、点にはつながりませんでしたが、大事な場面でのミスは致命傷につながるところでした。
私も、そこはがんばって取ってよね、と思って見てました。
夕飯時におとーさんが、
「あのときのボールはファーストがしっかり取らなきゃね。せっかっくの好プレーがフイになったね」
と南に振ったら、
「あー、それね、タクヤでしょ。タクヤがベンチに戻ってきてすぐに、ごめんねって言ってきたから、いーよいーよ、おしかったね、もうちょっとでとれたよ。また練習しようねってしゃべったからいーんだよ」
と、南は納豆が絡まった手とお箸をウエット・ティッシュでふきながら、全く気にする
様子がありません。
エラーを素直に謝りにくる子、それをとがめずに励ます南。
ふたりのやりとりを想像するだけで、口元が緩みます。
大人の私たちよりも、子どもたちの方が野球を通じて優しさを覚え、しっかりと成長を
していることが感じられて、自分の反省と孫たちの成長のうれしさが混ざった複雑な感情を抱いているところに、
「でさ、また練習しようねっていったけど、もう一緒に練習することもあまりないんだねってタクヤとふたりで話してたら、ふたりとも急にさみしくなってきたんだよ」
と、手を拭き終えた南は、はにかみながら4杯目のご飯のお替りをつぎに席を立っていきました。
家での南は、飼っている動物の生死にまつわること以外にはウエットな感情をほとんど出すことはないので、その辺はドライな子だと両親ともども思っていました。
彼の予想外の発言に、食事のあとでビールを飲みながらみんなでしみじみとなったところです。
試合は負けたけれど、きっと彼はいい夢を見て眠るのでしょう。