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ばーばと南 + Run&Music

Run & Music / 「Only You」 Diana Ross ~ 石のアート。壊して帰るのか、そのままにして帰るのか

10月17日のブログ「ネコは…」から、Run+Music部分を切り取って再掲。

 

 

昨夜から今朝までしとしとと雨が降った。

私は窓を少し開けたままにして雨の音を聞きながら眠った。

 

雨が上がると洗濯物を干したり、おやつを作ったり、何より苦手なアイロンをかけたり、窓を拭いたりと家事に追われて走る時間もなくなった、ことにする。

 

庭を掃いていると、雲の合間から光の筋が幾重にも刺し「走りに出てきなさい」と私を誘う。

 

 

 

自然の叱咤に導かれ、サボり心を整え直して1時間ほど歩くことにする。

雨をやり過ごしたカモの親子が、少しだけ増水した川から陸に上がり羽を休めている。

 

私に気づくと、人に会った時の動物のルーチンとして、「どれどれしょうがないな」と、空にむいた小さな茶色のお尻をいそいそと左右に揺らしながら水の中へと逃げていく。

 

カモの親子が数メートルの近距離に現れた私を発見しても、脱兎のごとく逃げないのは私への厚い信頼なのか、「こいつ素早く動けないな」と見透かされてすっかりなめられているのか。

 

おそらく、ほとんど、だいたい、おおかた、疑いもなく、十中八九、けだし後者であるので、わかっちゃいるけど複雑な心境になる。

 

 

昨夜の名残の風はほんの少し暖かく、全身をまとうように流れる。

遊歩道はまだ湿っていてほこりもたたない。

 

 

バス釣りに来たのであろう青年は、長い草にからめとられてこんがらがっている思うに任せないルアーを回収するのに必死だ。

 

 

 

遊歩道の横の足首にも満たない雑草が広がるスペースで、おじさんがいくつもの小さな小石を30cmほどの高さに見事なバランスで積み上げて鎮座させている。

 

私はかぶっていたグレーのパーカーのフードをさっとおろし、イヤフォンを外して生まれて初めて見る風景に目を凝らす。

 

おじさんはランニング・コースに非日常を持ち込んだ。

誰も相手にすることがなかった石たちは一瞬だけ表舞台に。

 

 

いつからこうやっているのだろう。

どれだけの石をチョイスし、どれだけ失敗してここまでたどり着いたのだろうか。

 

 

このアートは”結果”はもちろんだが、手品と同様に”過程”にも興味が移る。

 

 

制作過程の偶然性や瞬発力がアートの基礎となるのだろうか。

計画性はどのあたりから芽生えてくるのだろうか。

集中力はどこまで続くのだろうか。

技術の習得はどこどのようにするのだろうか。

 

 

窓ガラスに近づいて雨粒をじっと見るように、おじさんの制作過程をずっと見ていたいと思う。

 

コーラのレシピを教えてもらう権利と、おじさんの石積を最初からずっとみる権利のとどちらを選ぶかと言われたら、迷わずに私は「おじさん鑑賞」を選ぶ。

南がいたらすぐに近寄って行き、根掘り葉掘り聞きだすのだろうけれど、体裁を気にする私にその勇気はない。

 

 

おじさんは、まだ少し濡れている草を気にすることもなく寝そべって、わきを走り抜けるランナーたちの驚きと羨望をまとったアートを写真に収めている。

 

瞬時に思ったのはこの素晴らしい成果は、おじさんが石を上手に積む手先の技術によるものだけではないということ。

 

 

石に言い聞かせて石に意志を持たせ(ダジャレではない)バランスを取らせないことには、こうもうまくことを運べるものではないと思うし、そうであって欲しいと思う。

 

おじさんが立ち去るときに、このアートはこのままなのか、それとも壊して立ち去るのだろうか。

 

このアートにはマナーやルールがあるのだろうか。

マナーがないのであれば、私はそのままにして立ち去るだろう。

 

少しでも誰かの目にふれてほしいという気持ちと、他人に壊されたくはないという不可侵さとがせめぎ合うけれども、みんなに見てほしいという気持ちの方が少しだけ上回るかもしれない。

 

いや、実際はどうだろうか。

 

バランスの取れたものを自ら壊す快感って私の日常にあるものではないから、ここぞとばかりに潔く「ばーん!!」と壊して立ち去るかもしれない。

 

「石とのコミュニケーションが刹那的だからこそ、自らの破壊によって潔く円は閉じるものだ」などと変に難しい世界を持ち出して言い訳にしながら。

 

 

でも以前、南とバス釣りに行ったときに教えてもらった

「ばーば、釣った魚は自分でリリースしてね」という言葉が芯をついているようにも思える。

 

 

答えは知りたくないから帰りは違う道を通ろう。

 

 

 

やっぱり歩きに来てよかったな。

 

 

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本日のウォーキング時にガーミンが選んだリスト

 

 

 1. Only You / Diana Ross ('06)

2006年のカバー集のアルバムに入っています。彼女は何を歌っても歌い方が優しいですよね。 声が好きです。

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 2. Addictive Love / BeBe &CeCe Winans ('91)

 1991年リリース。ゴスペル・ファミリー10人の中の7番目と8番目の兄妹。M.C.Hammer全盛(来日公演を見に行きました)の当時、よくFMで流れていました。ゴスペルを日の当たる場所に引っ張り出したヒット曲です。

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 3. Playin By The Rules / Michael Mcdonald ('82)

   R&Bのあとのこの軽やかな心地よいリズム感は、軽いウォーキングによい影響を与えてくれて、足を前に運んでくれます。この曲が入っているソロ・デビュー作「If That’s What It Takes」の邦題は「思慕」。演歌じゃないんだから。

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 4. Precious Little Babies / Greg Rose ('09)

 スイートすぎて夜中に流すとピッタリな曲です。スキップします。

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5 . Quiet Life / Japan ('79)

Japanがガーミンに入っていたのには驚きでした。いついれたのだろう。当時は色モノ扱いされていたと思いますが私はかっこいいなと思って聴いていました。シーケンス・フレーズに合わせて歩くと少しつらいものがあるけれど、Mick Karnのベースに合わせると快適です。

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 6.  夜空のイヤリング / 八神純子 ('83)

 彼女の作曲なんですね。なぜだか、歩いていてChristopher Crossを思い出しました。帰ったら聴いてみよう。

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 7 . Kokomo / The Beach Boys ('88) 

映画「カクテル」の主題歌。Brian Wilson抜きで作り24年ぶりの全米ナンバーワンになったそうですが、私はBeach Boys全盛時の曲だとばかり思っていました。

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8. Let Me Be Your Story / Tahiti 80 ('018)

フランスのポップバンド。ちょっとアイドルっぽい楽曲です。

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 9. Kissing My Love / Jose James ('018)

 私が追いかけている才能あふれるミュージシャンの一人。容姿も音楽もおしゃれで多岐にわたり変化が激しく、ついて行けるかしらと少し思っています。

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10.  Ride ON Time / 山下達郎 ('80)

 イントロのエレピとリズムセクションが最高。

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11. Juice / Lizzo ('019)

Lizzo≒渡辺直美です。堂々とした容姿、コミカルなパフォーマンスだけでなく、他方向への才能が溢れているところも。80’s風の楽曲と楽しいPV。今の時代ならではのアプローチはBruno Marsをほうふつさせます。日本の音楽シーンではこのようなキャラクターのこんな正統な売り出し方は見たことがありません。「Cuz I Love You」も好きです。

 

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