「私、人には興味ないけど、人は好きよ。わかる?」
「んー、何言ってんのかぜんぜんわからない」
「わからなくていいのよ」
「だったら言うなよ」
「いーじゃん言いたかったんだから」
南と小学校から一緒で今は同じクラスの女の子と、
たまたま下校時で一緒になった際の哲学的でかわいい会話。
「女子の言ってることはさっぱりわからない。ゆっくり帰ろうよとか言って歩くの遅いし」
シャワーを浴びて濡れた髪をふきながら南はあきれています。
そもそも男性は女性の想いが判らない種なので……。
加えて、中2のころというと、それはそれは女の子の方が断然ませており、
そんな難解な話を、
「水の上ってどうやったら走れるかなー」
「次はどのシャープペンシルを買うか」
「掃除当番のさぼりかた」
などを、相当マジメに考えている南に理解しろといわれても絶対に無理でしょう。
ディズニーランドでミッキーマウスに早口のスペイン語で話しかけているようなものです。
彼女も南がわからないように話してみたのですから。
☆ ☆ ☆
「ばーばは、ちょっとわかるかも」
「えー、そうなん?」
「うん。ちょっとね」
「なに?、どういう意味?」
とおやつのおにぎりをほおばりながら目を見開く南。
「あなたはまだ、いかに速くボールを投げて、いかに速く走り、いかに遠くにボールを飛ばすことだけ考えていればいいのよ、って言いたかったんだと思うわ。野球がんばれ応援してるよってことよ」
「だったらそう言えばいーじゃんね」
「ただ、その子には優しくしてあげてね」
「いつもみんなに優しくしてるよ」
とあっけらかんな南くん。
ここで、ばーばは予言します。
近い将来、きっと「女心が全然わかってないのね」
と誰かにか言われるでしょう。
もしかしたら複数回言われるかも知れません。
ばーばの予言は当たるのです。
なぜなら、あなたのおとーさんがそうだったからです。
「全然わかっていないところが魅力なんですけどね」
と、結婚当初のおかーさんが話しをしていました。
ということで、この予言にはエビデンスがあるのです。
決定です。