脳の細胞は860億個。
これらを神経線維がつないでいる。
全ての神経繊維の長さは50万キロ。
地球と月をつないでさらに地球を3周できる長さらしい。
そういわれても全ての単位に経験値が不足しているため、全く察しがつかない。
メリットばかりの商品勧誘のように、にわかに信じることはできない。
そんな事実が私の頭の中に本当に詰まっているのだろうか。
「50mの神経線維が詰まっています」ならまだ信用できる。
それが10kmでも疑わしくなるのに、地球と月を結ぶなんて。
「何の話ですか?」とにわかに疑い深くなる。
「いやいや、そんなもんでしょ」
とサラッと言える人とは、いくらその人がロミオで私がジュリエットであってもおつきあいできません。
「家柄の前にあなたとは数の常識が違うの!!。だからムリ!!」と2階の窓から叫び名作は終わります。
そんな膨大な数字を突きつけられると、赤字の損益計算書を前にした営業幹部のように私は不安になる。
私の神経繊維の長さは最低でも数桁足りていないのではないか?
ちゃんとネットワーク化されているのか?
されていたとしても間違えてつながっていないだろうか?
どこそこ寸断されていないか?
いや、きっとすべての可能性を秘めているんだわ。
私の場合はどう考えてもどこか間違えているとしか思えない。
☆☆☆
「ご先祖さま、DNAが完コピされたのはどの代までだったのでしょうか?」
次のお墓参りに行ったときにご先祖さまにたずねてみようかと思う。
そうすれば私の責任範囲が判る。
でもなー。
「あなたのおとーさんまでは完全だったのに、
残念なことにあなたの代で10%壊れました。
そのおかげでどうも理数系が苦手になってしまったようですね。
完璧を期してきた先祖一同遺憾に思っています。
後世への責任を感じてください」
などと、8回までノーヒットノーランの先発投手を、9回に引きいでヒットを打たれたリリーフみたいに言われるといやだな。
責任を感じろと言われても壊れちゃったものはもどらないので、やめておこうかな。
もしかしたら南のかたづけができない原因とテストのイージーミスの乱発は、私のせいかもしれないのだ。
そうすると南を注意している場合ではない。
ブーメランは私に戻ってくる。
☆☆☆
テストの成績が悪くて怒られている君。
それは100%君の責任ではないかもしれないのだよ。
「世代が進めば進むほどDNAのコピーミスは増えるので、責任は分かち合おう」
と親に提案してみるのも一案かもしれない。
先生には
「親と先祖の代で徐々に脳細胞が減り続け、現在800億個を切っているようで、そうなると親とご先祖さまが半分、私半分の責任となり、私一人の努力ではいかんともしがたいものがあります故、ご理解のほどを……」
と訴えていいかもしれない。
その後の親や先生の反応に関しては、私の責任範囲ではないのであしからず。