友だちもロクにいないくせに。
ロクな友だちもいないくせに。
中2の南のクラスでケンカが勃発し、このような言い合いになりました。
どっちもどっちだけど、
オレは「ロクな友だちもいないくせに」の方が不利な気がする。
とは南の感想。
「どうして?」
「友だちってロクでもなくていいんだよ。
ロクでもなくても友だちっていうので、いいんだよ。
ロクでもなくても友だちっていうのが、いいんだよ」
「オレもロクでもないからね」
「わー、かっこいーじゃん、親と祖母の顔が見たいわ」
と南のおかーさんが褒めました。
「ばーばは今でもロクでもないから、一生ロクでもないと思うわ」と言うと
「そんなことないよ。ばーばは大丈夫だよ。ご飯もおいしいし」
とまじめに励ましてくれます。
ロクでもなくても優しければ大丈夫よ。
と心の中でつぶやいてみました。
後でコーヒーを飲みながら、南のおかーさんが
「あんな風にものごとを考えているなんて、少しずつ私たちの手の届かないところへ歩き出しているようですね。いつまでもロクでもない子でいてほしいけど、
そのうち親の言うことなど意に介さないときが来るのでしょうね」
としんみりしていました。
「彼は意味を大事にしているので、良い子にも都合のいい子にもならないと思うので、今のところは手の届かないほどそう遠くへは行かないと思うわ。物理的にはわからないけど」と言うと
「先生が言うには同情も買わないし、一人相撲もとらず、あたりさわりのない付き合いを嫌う子らしいですよ」とおかーさん。
さらにおかーさんは思い出したように続けます。
「その辺はいい感じなのに、
どうして机までの通り道に服やカバンが放置してあるのでしょう。
なぜ、今日もらったプリントが毎回くしゃくしゃになってカバンからでてくるのでしょう。時々何日も前にもらったプリントが出てくるし。
人の体操服をなぜ持って帰るのでしょう。
なぜ部屋のあちこちにぶつかりながら歩くのでしょう。
洗濯物を片方だけひっくり返して脱ぐのがなおらないのはなぜでしょう。
これ一日に起こった出来事ですよ」
南のおとーさんもずっと脱いだ洗濯物が片方ひっくり返っています。
私にも責任がありますね。
「ロクでもない子でいてほしいのなら、いくつかは目をつぶりましょうか」
と提案してみます。
紆余曲折、議論百出の末、
「プリントはどうも無理なようだから、洗濯物だけはしっかり脱がせよう」
ということに2人で決めました。
おとーさん、あなたも今日から厳しくしていくそうですよ。