i-class collection

ばーばと南 + Run&Music

きれいごとの生徒会長立候補演説

フジタは去年の生徒会長立候補演説を聞いて

「みんなが笑顔になれる学校に」とか

「いじめは許さない学校に」とか

「清き一票を」とか

抽象的なことを言ってる時点で終わってると思うと興奮していた。

 

 

オレは本気で学校の改革をやる。

清くなくてもなんでもいからオレに入れろ。

生徒会の運営はそのくらい強い押し出しが必要だ。

なにしろ学校との闘いなんだから

とフジタは息巻いたあげくに

生徒会長に立候補した。

 

 

 

クラスの男子はこのヒーロー候補に追いなる期待を寄せる。

大谷を待っていたドジャースのように。

そして各々が思いをぶつける。

くつの色は黒も認めるように言ってくれ。

靴下は何でもありにしてくれ。

ツーブロックを許可しろ。

 

選挙期間中、フジタのクラスはそれぞれの期待を込めて彼を応援した。

 

 

ところが、そんなアイツは体育館での演説で

「あしたも来たくなる学校にします」

「そしていつも春のように笑顔の花を咲かせます」

と歯の浮くようなきれいごとを言い出した。

 

 

 

あれっ?、話が違うじゃん。

めっちゃ抽象的じゃん。

カイナラサレチャッタネ。

いや、暴走したね。

朗らかすぎるだろ。

あとでヘッドロックにかける。

本当の政治家になれる素質だよ。

あいつの給食のおかずを減らせ。

笑顔の花ってなんじゃそれ。

花はいいから靴の色は?

闘うんじゃなかったのか?

 

昼前の体育館でざわつく2組の男子。

 

 

昼食の用意をしているクラスに戻ってきたフジタは悪びれずに

「おまえたちもあそこに立てばわかるよ」と言って

電池が切れる前のおもちゃのようにぎこちなく頭を掻きながら

ハハハハと笑った。

 

 

堕ちたヒーロー。

泡のように消えゆく期待。

 

 

 

「あそこに立てばみんなあーなるってか。それにしても立場を翻しすぎだろ」

と安田が言うから

「翻したのは立場じゃなくて態度だろ!!」

とみんなに突っ込まれていた。

 

 

フジタって、学校の勉強はできるけど

なんか全然わかってなかったんだなと思った。

 

 

そもそもあそこに立つ気のないオレが言うことではないんだけど。

 

 

夕飯時の聞いていて楽しい南のグチでした。

 

 

フジタ君の抽象的な演説は生徒受けがよく、無事生徒会長に選ばれました。

南は未だにツーブロックがばれないようにうまいこと隠しながら、

真っ白な靴下と真っ白な靴で通学しています。