i-class collection

ばーばと南 + Run&Music

南は家族だけれど、私たちは南ではない

南の授業参観に出ていたおかーさんが、帰ってくるなりその報告を始める。

まー、コーヒーでもと豆を挽きながら話を聞く。

 

 

担任の先生から

「南君はいつもニコニコして機嫌がよくて、感情が落ち込まないのはどうしてでしょうか?、私も同い年の娘がいるのですが、見習いたいなと思います。ご家庭で何か特別なことをなさっているのでしょうか?」

と質問され答えに困り、返した言葉が

 

「とくには何もしてませんが、家でもずっと鼻歌を歌っていて明るいヤツです。でも、しょっちゅう怒られています。南の生まれつきの性格じゃないですか

と、にべもなく答えたらしい。

 

 

「先生に失礼だったでしょうか。南は、周囲によく思われようとかいう気持ちはあまりないでしょ。自分のペースが大事で、とにかく楽しく生活をしたいが最優先なので、学校では周囲に迷惑をかけていないんだろうかと心配していたので、そうやってほめられると、どう返していいかわからずに…………」

おかーさんはいつまでも先生への返答のことを心配している。

 

「そのままの答えでいいんじゃないですか。特におもいあたるふしもないし」と結論を出したものの、私も少し不安になる。

 

 

「家で行っていることを書き出して、何かいい感じなのがあったら先生に報告したほうがよくないですか」と提案してみる。

 

「いやいや自慢になるからやめておいたほうが……」

と違う意味でおか-さんはまたまた不安になる。

 

私も「そうね、自慢みたいよね」と同調し、一向に用を得ない。

 

まあ、とりあえず書き出してみましょうか、ということで落ち着く。

家庭と学校で差がないのは良いことではないか、などと感想を述べながら思いつくだけを書き出してみた。

 

 

                                 

 

 

・面白いことはみんなで共有し、いつもみんなで笑っている。

・勉強でもスポーツでも、彼の将来に関しても、親からの過剰な要求はしない。

 

 

・なんでも自分で判断させ自分で決めさせる。そのための情報は与える。

・「あれしろ、これしろ」と指示、命令を一方的に頻繁にしないように心がけているつもり。できているかといったら、私たちはまだまだできていない。反省ね。

 

 

・甘えてきたときは、しっかりと甘えさせる。

・南が家の中で過ごしているの時間は、ほとんどの時間を家族の誰かと触れ合っている。

 

 

・少しのことでも、ほめる、感心する、すごいという。

・暇さえあれば本をたくさん読み、いろんな音楽を一緒にたくさん聴く。

 

 

・あなたがいてくれたから助かった、雰囲気がよくなったよ、南がいないとこんな経験はしなかったよ、ありがとうとお礼を言うなどして、彼に彼の存在価値を認める。

・話をきちんと聞く。忙しい時はちょっと待って後から聞くから、といってぞんざいにあつかわない。でも、時々ぞんざいにあつかうのでこれも反省。

 

 

・学校もスポーツも嫌ならいつでもいかなくていいし、やめてもいいよと言っている。これってニコニコにはつながらないのでは。

・必ず事情を聴く。

 

                                 

 

 

結局、これぐらいしか思いつかず、それがニコニコにつながっているかと思えば大したことはしていないわね、という結論になった。

 

先生、ニコニコにはノウハウはないようです。

南を誉めてくれてありがとうございます。

 

 

ただ、南は家族だけれど、私たちは南ではないということを基本において、みんなが大事に思って暮らしていることは確認ができた。

 

 

それはわかってはいるものの、実行はなかなか難しく、ついついこちらの考え方を押しつけたり、忙しい時はぞんざいに扱ったりと、大人の未熟さで南に謝ることも多々あるなー、と二人でおおいに反省した次第。

 

 

子ども大人も、お互いが教え、教えられるといった謙虚さが必要だと再認識をしたのだ。

 

判り切ったことでも、何かのタイミングを通じて自分たちの行動をチェックすることで、知らない間に少しずれた中心を元に戻すことができるようになる。

 

この作業をしないと、知らない間に独楽の中心がずれる。

中心がずれた独楽は不安定にまわる。

さらに時間がたつとまた少しずれる。

そのうちにずいぶんとずれた中心で独楽は回っているつもりになる。

しかし、外れた中心でまわっている独楽は簡単に止まる。

 

子育ても、会社も、学校もなんでもすべてそうだ。

私は正しい、わが社は大丈夫と思っているときほど危ないものはない。

 

 

回っていると思っている独楽が実は止まっていると気づいた時は、すでに重症である。

 

 

私は、南の成長を邪魔せず見守っていくために、日々あれこれ勉強しなくてはと、ずれた中心を戻した。