i-class collection

ばーばと南 + Run&Music

「温暖化の地球を救う」っていうけれど

南が帰ってきて、おやつをほおばりながら、6年生みんなで「温暖化の地球を救う勉強

があった」と教えてくれた。

 

「たくさん勉強をしたのね。よかったわね」とほめる。

 

 

「先生が温暖化のことを知ってますかって聞いたら、エイタが温暖化のことをあーだの

こーだのと、先生が止めるまで長々としゃべって知識をひけらかしたあげくに、最後に

ぼくはマイ箸を持ってます、みんなはどうですか?って、相変わらずいい子ぶるから、

イラってきた」

 

彼にとって今日の一番のトピックスは「地球温暖化」ではないようだ。

 

 

「まー大変だったわね」

お怒りモードを沈めにかかる。

 

 

「マイ箸なんてお前もってないじゃんって、オレは思ってたら、みんなはどーですかっ

て、お前は先生なのかって男子が騒ぎ出して、マイ箸持ってないやつは悪者みたいじゃ

ん、失礼だよねと女子が言い出した。だからエイタは必要ない事いうなって、いつも面

倒くさいことになるんだよ」

南の怒りはまだまだ収まらない。

 

 

エイタという子は普段の南の話を総合すると、低学年や弱い子には強く当たり、人が見

ていないところではツネったりもするようだ。かといって先生にはいい顔をし、優等生

を装い、困ったら何かと嘘をついて周囲を巻き込み、南たちにはおべっかを使ってすり

寄ってくるような、コミュニケーションが成立しない相当に手強い子らしい。

 

 

 

 

 

4年生の時にエイタが休み時間に暴れて、教室に飾ってあった友達の絵を破きそれがひ

と騒動になった。

 

その時にはなんと、

近くにいたリオちゃんから押されてその反動で破れました。ぼくはあぶないからよ

せって言ったんですと先生に言い訳をしたものだから、リオちゃんは震えながら

「どうしてあなたはそうやっていつも嘘ばっかり言うの」と言い放って泣き崩れ、親も

よばれて大騒ぎになった。

 

その際、エイタのママは、

「ウチのエイタは、生活態度も優秀でみんなのリーダーを任されていると聞いていま

す。そんなはずはありません。その女の子が嘘を言ってるのではないですか」と譲らな

かったために、これまた近くにいた南に先生が本当はどうだったのかとたずねられたら

しい。

 

南は

「いや、リオちゃんは何もしてません。エイタが一人でぐるぐる回っていて目を回して

ぶつかって破りました。それだけです。エイタはうそをついています」と答えたよと、

涼しい顔で一部始終を教えてくれた。

 

 

それ以来、エイタは学年主任の先生のクラスになって監視されているという噂が広がった。

 

エイタママはそれでも、

「優秀な子が学年主任の先生のクラスになるのよ」と南のおかーさんに自慢をしたみたいで、

「その時のひきつったおかーさんの顔を見たかったなー」と南が茶化していた。

 

今回もそういった普段の言動が、みんなの怒りを増長させた様子だ。

しかし、南の怒りはおさまらないので、どこかに視点を変えねばならない。

 

 

あっ、でもちょっと待ってごらんなさい。

 

 

「地球を救う」って言葉は、ばーばは間違っていると思います。

自分たちで追い込んでおいて、救うも何もあったものではありません。

 

どの口が!!、と言われますよ。

 

 

地球が聞いたら眉間にしわを寄せて「はあ?」って不機嫌になること間違いはなく、

地震を起こし、豪雨を振らせ、火山を噴火させる気持ちもわかるわ。

 

 

救うって言っている間は何も変わらないと思うのよ。

 

 

などを、そんなことはないよと南に反対されるのを覚悟して意見すると、

「そうだね、ホントじゃん。上から目線だし。悪いことをしたらまずは反省と謝罪から

だね。明日先生に伝えるよ」と思いのほか同調してきたので、とっても不安になり

 

「学校は学校の教える都合があるのだから、今日の話は二人の内緒にしてね。約束よ」

と頼んでみた。

 

南はわかったと言って公園に遊びにいったが、南のわかったはあてにならないので、あ

したの朝もう一度いや、二度くらい念を押しておこう。

そして帰ってきたら、約束を守ったか聞いてみよう。