南が小学5年生のときのお話。
学校から帰ってきてキッチンに入ってくるなり、私が見ていたボブ・マーリ―のライブを目にして「なんでこんなに変な髪形なの?」って驚いた顔で聞いてきました。
こればかりは返答にちょっと困って、
「この人たちは、レゲエっていう音楽をやっていて、その“こころざし”をこのドレッドヘアという髪に編み込んでいるのよ、だからあんな髪形なの」
と、わからなくてもいいやと、その場しのぎにむずかしめに説明してみました。
すると南は何かを感じたらしく、
「へーっ、戦士なんだね」って、はんぺんのように裏表のない顔で核心をついてきたのには、おどろきつつも感心してしまいました。
ボブ・マーリーはその存在感だけで子供に自分の理念を納得させるのだ。
その大いなる説得力に驚きました。
南には
「あなた、その年で戦士の在り方がわかっているのね」とうれしくほめたたえました。