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ばーばと南 + Run&Music

RUN & MUSIC / 「Yesterday」 Beatles ('65) ~ イエスタデイがわからない

走り出したと同時にガーミンはこの曲をチョイスしました。

 

 

YESTERDAY。

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そうです。

ポールが彼女の家で朝起きたらメロディがなっていたという、オカルトチックなエピソードを持つビートルズの名曲です。

5枚目のアルバム「ヘルプ!の13曲目。

当時だとLP盤なのでB面の7曲目。

雑な扱い方です。

ドラフトの育成枠です。

 

それが世界で一番カバーされた曲に成長します。

いわゆる育成の星です。

バリー・マニロウケニー・Gレイ・チャールズ、グラディス・ナイト、シュープリームス、アンディ・ウイリアムス、フランク・シナトラアレサ・フランクリンエルビス・プレスリー、マイケル・ボルトンオスカー・ピーターソンカウント・ベイシー、サラ・ボーン等々。

 

小学生風に言うと、もうみーんながカバーしてます。

 

 

中でもマーヴィン・ゲイのバージョンは秀逸です。

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ちなみにカーペンターズはこのアルバムからその「イエスタデイ」ではなく、ビートルズが完璧に仕上げ、かつポップバンドには難しいであろう「ヘルプ」をわざわざチョイスして、リチャードが見事な編曲でカバー力をみせつけます。「才能」ってこういうことをいうのでしょうね。

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☆ ☆ ☆

 

 

で、

白状すると、私はこの曲のよさがわかりません。

 

恥ずかしいので小声で、グレーで。

最初の”♪ イエスタデイ”の出だしから暗くてダメなのです。

 

先に紹介したマーヴィン・ゲイのカバーはかっこいいなーと思います。

 

 

ジョン・レノンポール「イエスタデイ」だけは認めてやるみたいなことを、上から言った、ポールが自ら最高傑作と言った、チャックベリーも絶賛した。

その「イエスタデイ」をなぜか私は両生類の肌のように好きになれませんでした。

最初の出会いがいけなかったのかもしれません。

風邪をひいて学校を休んだ熱が高いさなかに「イエスタデイ」がラジオから流れてきました。

その圧倒的に元気のない状況がいけなかったのかもしれません。

きっとそうです、私の音楽性の無さでは全くないと思います!!。

いや、それで決定です。

 

弦楽四重奏の入ったクラシカルできれいな曲であることは私にもわかります。

♪ Why she had to go

のところのバイオリンは上がっていくのに対して、チェロが下がっていくところなど

とてもおしゃれで素敵です。

 

ただ、メロディラインが知らぬ間に出来上がったのに反して、曲のアレンジには苦労したようです。

もともとが甘く優しい曲なので、ストリングスをかけすぎると甘さが過剰になって、曲の本質を見失います。

スキを許せば、ジョージ・マーティンイージーリスニング・オーケストラ風に走りがちで、育成枠の中で終わってしまいそうな曲のポテンシャルを、ロックバンドのバラードとして昇華させようとポールは必死に抗います。

かといってアコギだけではサイモン&ガーファンクルになってしまいます。

この曲をビートルズの「イエスタデイ」にするためにポールは単騎、悪戦苦闘するのです。

 

弦楽奏者にビブラートをかけないように無理難題な指示を出します。

荒井由実がデビュー時に”ちりめんビブラート”をとるよう、当時のプロデューサー有賀恒夫に訓練させられたのと同様に。

ギターのチューニングを1音下げもしました。

同日録音の「アイム・ダウン」で叫びまくっても、臆することなくレコーディングに及びました。

教科書にも載りました。

これまでビートルズが作ってきた楽曲とは一線を画し、次のアルバム「Rubber Soul」へのフックにもなった貴重な曲だと思います。

 

 

 

でも、代表曲に推すとなると疑問を呈するのです。

「COME TOGETHER」「I AM THE WALRUS」じゃだめなのでしょうかね。

だめなのでしょうね。

 

「おいらは、あざらしじゃあ万人受けしないですもん。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

そこで、味方あらわる。

亡くなった私の大好きな女優の樹木希林さんも「YESTERDAY」はなぜいいのかがわからないとおっしゃっていたようです。

あー、同じ感性の人がいると思い、その言葉を見つけた時はちょっと心が小躍りしました。

 

「YESTERDAY」を支持する多数派の皆さんも、まあ、多様性を推進するこのごろですから、否定する意見も多様性としてみなすようにおおらかに受け止めていただけると助かります。

 

もう一ついうと、すでに世界のビートルズであったにもかかわらず、ピータ&ゴードンピータアッシャーの妹ジェーン・アッシャーが、当時のポールの彼女だったのですが、その家族と一緒に住んでいたことが驚きです。

だからといって売れる前のバンドマンならいざしらず。

なぜに彼女んちに転がり込んでいるんだろうか。

ポールの行動は幼稚園児並みに読めません。

でも、そんな環境が名曲「イエスタデイ」を産んだのです。

 

アラレちゃんにとっての則巻せんべい、桜木花道にとっての安西先生と同様に、

「イエスタデイ」にとってはジェーン・アッシャーが欠かせないのですよ。