南(6年生の時)が学校から帰ってくるやいなや、玄関にランドセルを置くなり靴も脱がずに突然会話が始まります。
南「ずーッと考えながら帰ってきたんだけど、昔はさあ、ご飯を作るにもたいへんだったわけじゃん」
私「何を突然思ったの?」
南「まーいーじゃん。で、火をおこすところからはじまるわけでしょ。今は昔に比べていろんなことが進歩して便利になったけど、みんな忙しいよね」
私「火をおこさなくていいぶん、時間ができたんじゃない?」
南「洗濯機とかもできて楽ができるようになったけど、大人は時間が足りないってよく言うよね。ばーばは特にあれこれしたがるからよく言ってる」
私「えー、そんなに言ってるかな。だったらそれは進歩って言えるのかな?」
南「言わないんじゃ!!」
私「じゃあ、なんていうの? とりあえずシャワーを浴びなさい」
玄関で首をひねっている南に考える時間を与えます。
南が「ばーばわかったよー」と脱衣所から声をかけながら、髪の毛をふきふきパンツ1枚で現れます。
南「進化だよ、進化。火をおこす技術は進化したけど、それで人間が進歩したかというと、火がつけばいいだけでは満足しなくなって、みんなで火をおこす技術を競うからそれが忙しくて、あれ?、ぜんぜん進歩がないなーってなるんだよ」
私「ほー、すごいわよ。あなたは進歩したのね。髪の拭き方は進歩しないけど」
南「ばーばはジョギングしては腰が痛いのが治ったり、したがために痛くなったりと進歩しないよね」
私「ばーばはもう進化しないから退化の時間に抗っているのよ。でもね、ジョギングをやめずに頑張るという進歩はしてるのよ」
南「それって現状維持っていうんじゃないの」
いらない言葉を覚えたようです。