先日、南のおかーさんと作った「七草がゆ」を食べに孫たち家族が集まりました。
お粥の香りにつられてか、行平鍋を混ぜに南が乱入します。
木べらの使いかたを教えると、南は味噌汁と違ってなぜ木べらを使うのかが不思議なようで、質問攻めにあいます。
試しにお玉を使わせたら、ガチャガチャ、キーキーと音がして南の耳を刺激するので、台所にいろんな道具がある理由が少しわかったようでした。
季節によっても料理の仕方がかわるのよと、おかーさんが教えると、
「ふかおうなんだね」と南が言います。
「ふかおう?」
「フカオー?」
ふたりで首をひねります。
「なにいってるか、さっぱりわからないわ」またわけのわからないことを言いだしたなと、警戒を強めるおかーさんに、
「奥が深いの深いに、奥が深いの奥だよ」と南が説明をします。
「あー、深奥(しんおう)ね。よくフカオクって読み方にならなかったわね」と私。
「だって奥義(おうぎ)っていうじゃん」まだ間違っていることに気づかない南。
「字だけで意味をかんじとってたのね。でもこれからは、”しんおう”と読むのよ」とおかーさんがやさしく教えます。
南はいろんなジャンルの本を読みます。
そのせいか、よくそんな難しい言葉を知ってたわねということが最近よくあります。
フリガナを振っていない本で意味はなんとなくわかっても、読み方が違うという間違いもしばしばあったのですが、今日の間違いはさすがについていけませんでした。
まあ、本を読むからこそ、だと思ってそれはそれでいいんじゃない、ということで話はおちつきます。
さてお粥です。
孫は総勢5名。
男性 2人(21歳、12歳)、女性 3人(24歳、20歳×2)。
お粥は若い人にはどうかな、と南のおかーさんと心配話していたのですが、思いのほか好評で、みんなおかわりして食べてくれました。
おかゆを食べ終わると、いちばん年下の南に他の孫たちが話を合わせながら、楽しい会話が過ぎていきます。
会話の中身は南の小学校での授業の話です。
「人や動物はなぜみんな死ぬのか」というお題について、クラスで話し合った内容を南がいとこたちに話して聞かせています。
◎教室でのそれぞれの楽しそうな意見を、南の説明順にまとめてみる。
・地球が人や動物でいっぱいになるからといった女の子の意見には、クラスみんなが賛同。
・6年生らしく、生物学的には遺伝子がどーたらと長々と難しいことをいう男子には、わかりにくい簡単に短くしゃべろ、とみんなの厳しい意見があったようです。
・細胞が死ぬからとの意見には、なんで細胞が死ぬのかがわからないじゃないですか、と原因を追究する声も多かったようです。
・カウンターがついててゼロになるからと画期的な答えを導き出した、カラダも小さくて普段から気弱な男子が、勉強ができる女子に、それはなんでゼロになるのですかと質問されてタジタジになったので、「まーいーじゃん」と男子が助け舟を出したこと。
・その気弱な子には優しいのに、生物学的な意見を出した子にみんなが厳しかったのは、普段から理屈が多くて言葉を難しくして話が長いから、またかよとあきれてみんなが怒ったこと。
・宇宙人が人類を作って寿命を決めたから、と少し変わった意見を言ったのは、ボカロ好きな女子。
それに呼応して、クラス全体が宇宙人はいないとか、いるとか、UFOはいないとか、いやNASAが発表したとか、勝手にUFOを見た話を始める男子がいたり、ネッシーだっているとか、それはフナッシーだろ、なに言ってるんだネッシーを知らないのかとか、じゃあ霊界も宇宙人がつくったのか、などと話がずれまくってクラスが無法状態に。
その時、先ほどの「生物学的の男子」がみんなを制して、幽霊を科学的に検証した例で話をすると…と言い出すと、ダジャレ好きな男子が「霊を例にとるとだってー」とたきつけたものだから、ギャハハハハとクラス中が大笑いになり、やっとのことみんなが正気に戻ったそうです。
・落ち着いたところで、自信なさげに小さく手を挙げたのは普段はおとなしい女の子。人やペットが死ぬと寂しいから、さみしさがわかるように、と誌的で美しい意見に対して、クラスから「ほー」という感心の声がもれたこと。
ところで、南はなにか意見を発表したのって、いとこたちがたずねます。
「うん。生まれたからですっていった」と答えて平然としています。
それって南らしいねー、でも哲学的だよねー、とみんなで大爆笑でした。
クラスのみんなは、「ほんとだー」と感心してくれたそうです。
「モノわかりのいいクラスメイトに恵まれて幸せねー」とおかーさんが微笑んでしました。