南が小学校4年生のとき、飼っているメダカの水替えをしながらの会話。
「ばーばばーば、おとーさんにね、おかーさん、休みなのに頭が痛くてかわいそうだねって話したら、
女は一生、頭痛で苦労するけど、
男は一生、おっぱいで苦労するよだって。おもしろいよね」
そういいながら、先ほどから水槽に混ざっているカダヤシを駆除するために、個体から目をはなさにいようにそーっと網で追っている。
時折失敗して「クソっ!!」といいながら眉間にしわを寄せる様子はすっかり男子。
こういう体験は貴重だなと思いつつ
「まーねー、あってるといえばあってるけど、女についてはまあ、いいでしょう。
男については小学生に因数分解を教えてはダメですとおとーさんに言っといてね」
と付け加えて、「どれどれ落ち着いて」といって網を交代する。
「そーっと、じーっとして、自分からくるように網の中に誘導するんだよ。すくうんじゃないよ。逃げるから」
と、魚すくいのいっぱしのレクチャーを小声で受けて、その通りにすると本当にスーッとカダヤシが網に入ってくる。ゆっくりと水の上に上げてミッション完了。
「やったねー、すごいね、上手だねー」と近所中に聞こえる声で、南が私をたくさんほめてくれる。
クラスでの様子を聞くたびに、自由に振舞いすぎる彼の奔放さにあきれるけれど、おかーさんを心配する心の優しさや、ほめ上手なところは認めて見習わなければと思う。
魚すくいでは苦労するも、オッパイでの苦労は当分先のようだ。