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ばーばと南 + Run&Music

必要悪

めいの結婚式、次男の会社の決算。長男の病院の予約システムの大規模な入れ替えなどが重なり、久しぶりに睡眠時間を削って働きました。

といってもほとんどが相談事なので、私なんかよりも現場の人はもっと大変なのです。

 

システムの入れ替えは、みなさん精神を削られます。

入れ替え作業中は予想もしないトラブルが山手線の電車のように正確にやってきます。

いや、トラブルが潜んでいるといったほうが正しいのかもしれません。

ひっぱくしたスケジュールが技術者の汗腺を開きます。

試験中にシャープペンの芯が亡くなった時のように心はあせります。

 

でも、私はこのトラブルに向かい合っているSEの人達の姿を見ているのが好きです。

普段の打合わせ時のカジュアルな雰囲気はどこにもなく、スーツの上着を脱ぎネクタイを緩め腕まくりをし、ひたいをつきあわせる様子をみるにつけ「かっこいいなー」と思ってしまいます。

私はニコニコしながらその人たちの間を縫うように

「どう?、うまくやれそう? がんばってね」

「ちょっと休む?、お茶がいい?、コーヒーがいい?」

などと話しかけては忙しいお仕事の邪魔になっています。

 

本人たちはうるさいばあさんだな、と思っているはずです。

 

そんな私でも、スルーランを終えて迎えるシステムの稼働日は、サッカーW杯でPKを蹴る選手やスクイズのサインを出された高校球児の心臓のありようがわかるようです。

 

そんな日々も落ち着いた今日は、珍しくお客さまも少なく久しぶりに昼間にゆっくりとコーヒーを飲むことができました。

ランニングも明日から再開です。

朝夕はだんだんと過ごしやすくなってきましたので、化粧少な目で走れる早朝がいいかなと計画しています。

 

☆ ☆ ☆

 

南が4年生の野球の試合でのお話。

 

6年生の試合中に「南、次に行くから素振りをやっとけ」と言われました。

ディズニーランドに出掛ける前夜のように胸をどきどきさせながら、顔のにやつきを抑えつつ、ベンチの横でバットを振っていると、ベンチに座っていた子が代打で呼ばれ、内野フライでゲームセットになったようです。

帰宅中に阿修羅と化した南は、食事中もずっとブツブツ文句を言ってました。

よくある話です。

 

「なんで、なんで」といって悶々としていても、監督は試合に夢中で指示したことを忘れていたのかもしれないし、突然考えが変わったかもしれないので、もうどうしようもないことなのです。

監督からフォローの言葉があればよかったのかもしれませんが、それもなかったようです。

どこにでもある話です。

 

 

子供の時って、友だちや、先生や周囲の大人に対して不満に思うことがたくさん生じるように感じます。

どんなに正しいと思って動いたことでも、周囲に認識されずに誤解を招いたりすることも多々あります。

 

実は、そんなことは社会に出れば山ほどあって、子ども時代の比ではありません。

ですから「必要悪」に出会って免疫をつけておくことが何よりも大事です。

温室育ちは免疫力を持ちませんので、外に出たとたん蔓延しているウイルスにやられまくります。

 

訓練不足の子が思い通りにいかない、腑に落ちない場面にでくわすと、その対処に大きなエネルギーを労するばかりで気持ちを整理することができずうまく対応でません。

そして100%、気持ちよくパーフェクトに人のせいにして決着を見ようとします。

 

脳は自らが落ち着くために、自分すら騙し、逆境とチャンスに弱くなります。

 

その瞬間はもちろんくやしい思いをしますが、長い目で見れば訓練だったと思うようになればしめたものなのです。

幼いとなかなかそこは理解できずに、納得させるのに周囲は苦労します。

甘やかさず、かといって厳しすぎずと絶妙なバランスが求められるのです。

 

肉じゃがの味付けよりも数倍難しいのです。

それなのに、「必要悪」に出会ったときのレシピも、「必要悪」クッキングのTV番組もありません。

世の中のニーズはあると思うんだけど。

 

☆ ☆ ☆

 

しかし、毒物を食べたら吐き出すように、心に本当の違和感を感じたらどこかで吐き出すことが大事です。

 

必ずどこかで全部吐き出すのです。

 

そのままにしていると、その違和感は当たり前のようになり、違和感ではなくなっていきます。

 

そうなると悪い習慣は心に根付いてしまい、取り除くのに苦労をします。

 

大企業の粉飾決算などはまさにそのとおり。最初はまずいなと思っていても、なあなあでやっているとそれが当然のようになります。

 

そのうちに悪いとは思わなくなるのです。

粉飾のための粉飾を重ねて最後は捕まってしまいます。

これは「必要悪」ではありません。

やっちゃいけないことです。

 

そこに正しく異をとなえる者は組織の邪魔ものとなり、共同体から排除されます。

ジャニーズも同じですね。

 

前回書いた中心がずれるというやつです。

ずれた中心をそのままにしていると、それが中心となる。

またずれる。

ずれたところがいつのまにか中心となる。

 

おとなはそれがわからないのです。

子どもにはえらそーに言うけど。

 

世の中の価値観は今変わりつつあるように感じます。

若い人たちを見ていると、私なんかよりもとてもしっかりしてます。

 

若手の政治家の人たちとお話をすると、既得権力が少ないせいで守るものがないこともあり、お年寄りの政治家よりもずっと的確に日本のことを考えています。

その力が合わさって良い方に向かっていると思いたいのですが、私にはわかりません。

 

☆ ☆ ☆

 

スケジュールのタイトさが難しさを助長していた病院の予約システムは、その若い人たちの頑張りで無事立ち上がりました。

きっと彼らなら、ウルトラマンのカラータイマーを5分に延ばすことだって可能な気がします。

その時私はきっと、ジャマだと思われながらも

「ねえ、5分と言わず10分にならないかしら」

「なんなら、サブスクにしてあげて」

などと無駄口をたたきながらお茶を配って回っていることでしょう。