プロ野球がキャンプに入ってひと月たった。
新人、ベテラン、中堅それぞれの思惑の中で、9つのポジションを奪い合うオープン戦が明日から本格的に始まる。
彼らプロ野球選手は、突出した技術を披露する職人であるし、職人でなければプロ野球では飯を食っていけない。
一定の水準を超えた職人集団の中で頭角を現すには、絶え間のない努力と、凡人があきれるほどの体力と気力と集中力が必要だ。
プロの中でもグラウンドに客を呼べる個性あふれる技術を獲得した選手は結果、元南海の鶴岡一人監督が言った「グラウンドに落ちている銭(ゼニ)」を獲得することができるのだ。
☆ ☆ ☆
毎年たくさんの新入団選手と外国人選手が入ってくる。
一つのポジションを何人もの選手で争う。
監督は争わせることで、選手の「怠け心」に火をつける。
マスコミは当然それをライバルと評して煽り立てる。
ジャイアンツの外野のレギュラー争いを例にとるとまさまさにそれだ。
3つのポジションを、丸、秋広、松原、オコエ、萩尾、佐々木、オドーア、長野の8選手で争っている。
キャッチャーのポジションは一つ。
大城、岸田、山瀬の3選手で争っている。
外野もキャッチャーも3倍の競争率だ。
いまのところは、どの選手も持ち味を出して好調を維持しており、マスコミの論調も元気がいい。
私は、他の選手を気にし出した選手から脱落していくだろうと思っている。
職人は他者と争って秀でていくものではないからだ。
孤独に耐えて、自分が目指す技術のてっぺんを目指せばいいだけだ。
技術の追及は自分だけの孤独でつらい作業だ。
それは努力でもなんでもない。
技術の追及は食事と同じで、プロであるならばしなければならないからするだけの話。
プロの場で他者を気にしたり、努力を持ち出す時点で負けている。
残るか撤退するかは、他の選手の動向に気持ちを乱されることのないメンタルにかかっている。
春とともにはじまるプロ野球は始まる。
季語にもなっている「球春」。
こんなに素敵な言葉を誰が作ったのだろう。
各チーム、誰が残ってスタートを切るのか選手の競争を見ているだけで楽しい。
ショッピングはカタログを見ているときが一番楽しいように
私はこの時期が1年でもいちばんワクワクする。