南を車に乗せると、最近は必ずBruno Marsのアルバム「Doo-Wops&Hoologans」か「24K」をかける。
今日は車に乗り込んですぐに「Straight Up & Down」を選曲した。
その後
「この曲YouTubeではあまり人気がないんだよね。オレはすごくいいと思うんだけど」とグチりながら「Count On Me」を流す。
「南はみんなと少しズレたところに興味を持つわね。いいことよ」
と誉めてみる。
人の話を聞いてなかったのか彼はそれには反応せず、次にかける「Perm」をパネル上で準備しながら
「歴史を学ぶ意味が分からない」
と突然話を変える。
南の話が変わることには充分慣れている。
いや、慣らされたので驚きもしない。
「昔の人の考えや、記憶、生きるための知恵やらなにやらを今に当てはめてみると、歴史から学ぶものがたくさんあるわよ」
とまずはありきたりに答えて、南の様子をみる。
「おとーさんも同じようなこと言ってたよ。でも学ぶものはないよ。昔から人類は同じことで間違っていて、同じことで争っているじゃん。それも騙し合い、裏切り合いは当たり前だし」
「愚かさと進歩のなさに気づいたでしょ。それは歴史から学んだということよ」
「でも、これに賭けるんだという凄味は昔の方があったような気がする」
「いろいろ学んでるじゃない。それはどうしてだと思うの?」
「みんな暇だったからじゃない?」