髪をカットしてきた南が、カット中に思い出した校則の話をしてくれました。
髪型などの身だしなみについて校則を破る人が多いと言う理由から
「気づいたらお互いに注意しあいましょう」
と先生たちから注意を受け、クラスで話し合いがもたれました。
数学の試験にずっと満点を取っているアラキ君が発言します。
ちなみにアラキ君は、マイナスをつけわすれたり、式を書きなさいとの問題に答えを書いたりと、凡ミスを繰り返す南に、
「問題を出す人の立場に立って考えてみるといいかも。凡ミスは中1のうちに直したほうがいいよ」とアドバイスをくれるそうです。
その代わり、南はアラキ君に”飛び込み前転の仕方”を教えていて、
「持ちつ持たれつなんだよ」と楽しそうな二人の関係を話してくれます。
そうそう、アラキくんでしたね。
「ちょっとしたことを注意しあうとそこからギスギスした関係になります。ぼくたちはよほどのことがない限りは注意をしません。自分で気づいて修正する力が必要と先生が言ったじゃないですか」
「さすがアラキ!!」とクラスがどよめきます。
それを受けて女子の学級委員のマツバラさんが発言します。
マツバラサンは、何か決めなきゃならないときには必ず先頭に立つけど空回りすることも多くて、でもそういう子がいるとクラスは楽だと南が言います。
そしてマツバラさん。
「決まったことは守らないといけないから。注意しあうことは大切で、それで自分もしっかりしなきゃと思います」
反対意見にクラスは沈黙。
そこから堰を切ったように各自が発言をはじめます。
ー仲間だからこそいわなきゃならないことや、仲間だからこそ言ってはいけないことがあると思うのでそこそこで判断したらいいんじゃない
ーマスコミが悪いと言うマスコミは、会社が悪いと言う社員と同じで、先生はどこに立ってモノをいっているのだろう
ー先生に責任があるってことかな
ー先生にもってことだよ
ーやばすぎることは注意しても、細かい事をいちいち注意してたらクラスは持たないと思う。
ー生徒会がはりきってやればいいじゃん
☆ ☆ ☆
「校則すべてにオレは納得しているわけではないので、別にいーじゃんそれくらいと思ったことは注意はしない。そこが先生たちとズレているんだよ。だから意見が食い違う」
南はそう思ったそうです。
「それ言ったんだ。勇気あるね」
笑顔でほめると、
「言わないよ。言うわけないじゃん。言ったところで何も変わらないから」
「えー、冷静過ぎない?、言えばよかったのに」
「先生たちが校則が正しいと思っている間は何も変わらないって。世の中、正しいだけを求めて行動したら間違うってばーば言ってたじゃん」
「言ったかもしれないけど、覚えていないわ」
「何が本当かをみるためには、従うのではなく反逆も必要なんだよ」
「何それ、だれがいったの」
「おとーさん」
「だから、ほら」と言いいながら髪をかきあげて、少し激しめのツーブロックを見せてくれました。
「それだいじょうぶなの?」
「もしバレたら、周りの中学校はどこもOKなのにどうしてうちだけダメなんですかって聞いてみるし、どうせすぐに夏休みだからね。それに探究学習は恐れていたらなにもできないっておとーさんが言ってた」
「都合のいい解釈だけど、度胸が据わってるのね。その髪型は野球部というよりサッカー部みたいで私はかっこいいと思うので、好きよ」
南は夏休みの間は、もともと茶色っぽい髪に少しだけメッシュを入れて、潮焼けしたサーファーのような髪色にすると言っています。
「高校になると野球三昧でそんなこともできなくなるので、長い夏休みの間に少しだけやってみよう」
とカットサロンのオーナーの提案に、おとーさんと3人で盛り上がったそうです。
マジメ一辺倒ではなく、少しはみでてみることや、色気づくことも大切なので、私は大いに賛成しました。
どんな風に仕上がるのか、夏休みが待ち遠しいなと思っている、わるいばーばです。